レンズの社説 11本目

さて、投稿したいネタが渋滞しておりますので、順番に紹介していきます。前回からわずか(当社比)ですが、お次のレビューです。

AF-S DX NIKKOR 18-105mm f/3.5-5.6G ED VRです。表記は公式HPに準じております。

毎度の如くD500で見ていきます。SD(スタンダード)で、LightroomでRAW現像しております。

1/640sec f/5.6 ISO100 (18mm)
SD 5000K

まずは広い方、f/5.6からです。ハイライトよりの露出ですが、シャドウ部分までしっかり描いています。テストに出かけてすぐのカットですが、なんとなくテイストがつかめました。

1/800sec f/5.6 ISO100 (105mm)
SD 5000K

こんどはテレ側です。f/5.6ですので開放になります。それほど距離を取らない状態でしたが、締まり切っていない線という印象です。

周辺減光が見受けられます。

1/1250sec f/5.3 ISO100 (65mm付近)
SD 5000K

中域での開放、上と同じ場所です。線は出ている印象で、あとは収差です。ピントの前後部分が気になります。

1/640sec f/8 ISO200 (105mm)
SD 5000K

遠景でf/8です。テレ側ではもう少し絞りたいですね。軸上収差は抜けません。やはりピントの手前側の描写が気になります。

1/1000sec f/9 ISO250 (18mm)
SD 5000K

もう一枚広い場面です。被写体の列車は違えど、上のカットからひとたびズームを引けばこの画像になりますから、利便性は間違いなく高いですね。

1/2000sec f/3.5 ISO200
SD 4500K +マゼンタ(+10)

光源を入れた逆光です。EDレンズの効果が現れていると思います。

1/2500sec f/5.6 ISO200 (105mm)
SD 4500K +マゼンタ(+10)

テレ側での逆光と手前ぼけの様子を見ています。収差補正はそこそこに優秀と感じています。

苗の一本までの描写を見れば、高画素に適応してきたのが垣間見えます。

1/200sec f/11 ISO100 (18mm)
SD 5000K +マゼンタ(+5)

絞り込んだ場面。ハイキー気味です。APS-Cですので、深い深度を利用できるのは強みです。

1/800sec f/5.6 ISO200 (24mm)
SD 6000K +マゼンタ(+10)

多少絞れば、概ね文句のない画面になります。軸上収差と歪みのために、編集ソフト一つあればもう少し使いやすいと思います。

書きたいこと全部書く。

なんだか思った通りで書くことがないと思いつつ、どこか安心しながら書いております。

大体性格はニコンらしいで片付けられます。高倍率ですが換算で考えて28-150ほどで、あくまで使いやすい画角を切り抜いた形ですね。

D80のキットはAF-S18-200/3.5-5.6G(レビューしたやつ)か、AF-S18-135/3.5-5.6Gか、AF-S18-70/3.5-4.5Gであり、後継のD90ではAF-S18-200/3.5-5.6G(レビューしたやつ)、AF-S18-200/3.5-5.6GのⅡ型、加えてAF-S18-55/3.5-5.6GVR、そして当レンズという形でした。

簡潔に申し上げますと、それまでのAF-S18-135/3.5-5.6Gの立ち位置を奪って台頭したレンズというわけです。軽量化と手ぶれ補正を搭載している上に、設計がより新しいため、その後のD7100やD5100にもキットレンズとして登場しています。その頃からAF-S 18-70/3.5-4.5GはAF-S18-55/3.5-5.6Gに変わっていきました。初心者向けの入門機に付ける、一本目のレンズとして売り出されていたわけですから、初めての一眼レフ、初めての写真撮影の感動はこのレンズによって写し出されるわけです。今まで18mmからの高倍率ズームをレビューしているわけですが、どれもこれもキットレンズとして時代を作ってきた一本であり、どれも単体のレンズとして以外の仕事を担っているわけです。

初心者の一本目のレンズの系譜を担ったレンズですから、大三元とは相反して、それでいて似たような思想の元にあるレンズだと考えています。

さてこの話はこんなところにしておいてこのレンズの話をしましょう。

まずは描写に対してですが、特に噛みつくところもありません。キットレンズですから、一時期Twitterで流行ったキングダムの王騎のような眼差しで見守っています。

特に申し上げることなく開放から使用して良いと思います。風景でしっかりと細部まで描き切りたい場合はピークまで絞り、あとはカメラが何とかしてくれます。あとの体感では硬いものであれば一段は絞りたいです。

テレ側開放は“こんなもんか”になりました。やはり設計がAPS-Cセンサーで1000万画素オーバーを見越しているだけあって、優秀な部類と見えました。何よりも倍率の暴力を振るわず、このくらいでええかに留めている(留めているのか?)ので、他のレンズよりマシだと思います。

AFとVRの評価をすれば、焦っているユーザを見かけると、“まあ焦らずゆっくり撮りましょうや”と、一言缶コーヒーでも渡したくなります。余裕を持って使ってあげることが一番です。設計最高速度を超えることはできません。もしネックと感じるのであれば“ないよりマシ”で考えた方が楽です。前述した18-135(型番省略)ではVRがありません。当時はこれが最新だったのさ。

しかしまあ本当にないよりマシの考えです。何かあってもシャッタースピードを落としてISO感度を下げていくことができます。特に当時のデジ機ではノイズとの戦い(さらにAPS-Cだし)と思います。ISO800を渋るためにシャッタースピードを犠牲にできるわけですから、ここで救われたユーザが何人いるかは想像がつくと思います。

その他について…

軽量です。軽いです。びっくりするぐらい。前玉は67mmありますし、それなりのサイズ感のため困惑します。が、蓋を開ければプラマウントです。この辺りは自然に納得しました。便利で軽量ですがうちでは購入候補にすら入らない理由です。しかし落とさなければいいだけです。初めてのユーザがカメラをそう粗雑に扱うわけがありませんし、これでいいのだ、と腑に落ちました。(不慮の事故は除く)

ターゲットはあくまで初心者です。これは履き違えてはいけません。Twitterでも、初心者向けレンズ(カメラ)に対して、小難しいレスを飛ばす玄人の皆々様をよく見かけますが、とっても恥ずかしいですから、みんなはあんなおじさんにならないようにしましょう。オッサンにはオッサン向けのレンズが出ますから、安心して禿げるまで待っててください。

…話が脱線しました、戻します。最短撮影距離は全域で45cmです。あまり申し分のないところと思います。寄れないなら“えーいズームしてデカく撮そう!”ができるので問題ありません。それだけでレンズとしての仕事はこなしています。重要なのは性能もさながら、撮影機会を与えることです。撮れる撮れないでやる気はみるみる変わります。初心者にとってはその日一枚シャッターを切ったか否かで来年も使うか明日キ○ムラへ持って行くかが変わります。それこそ初心者キットの仕事の真骨頂です。だからこそ重たいf/2.8ズームではいけないし、小指まで指のかかるグリップではない理由なのです。

AF/MFの切り替えはどちらか一方のみです。AFにスイッチを入れれば、レンズ側のピントリングで常時MFが可能です。

前玉は67mmです。慣れてないとデカいです。

長々と書きましたが多分こんなもんです。(気がついたら書き足してる。)

お勧めしたいユーザー

これはこのレンズなので書きます。

まだまだ需要があると思いますし、バランスが撮れたレンズのため、筆者としても頃の良い標準を探す不慣れなユーザーならばこれを進めます。下手な明るいレンズよりもこれです。何よりも純正ですし。

もし一眼レフのパーティを一から構築したい場合は、何を撮るのか考えつつ、焦点距離と相談した上で十分に候補に出てくるレンズと思います。

18-55よりも多少背伸びができますし、基本的に過不足ない印象です。与えた仕事はきっちりやってくれます。1万円ちょっとの投入コストもきっとこれからのショット数や撮影結果で割っていけば大した金額にならないと言えます。このレンズは写真を撮る上での壁である、“撮影機会の増幅”をくれます。なにより大切でなにより難しいことです。

あとはこれ一本あれば出かけられるや、と気軽に連れ出せる枠ですので、そのようなカメラに対するお供にするのも悪くありません。105mmを使うかはさて置いてですが。

もしAPS-Cでパーティを組んでいて、標準レンズを探している場合も、十分に視野と思います。

やはり安いコストで最低限揃っています。ちょうど使いやすい画角に対してのサイズも文句ありません。一眼レフに慣れてきたら、この大きさにもスッと適応すると思います。

その辺りのステップにくれば、サードパーティも含めた候補を選定して、本当に欲しいものを決めていくのが一番と思います。その中でこのレンズが残る可能性もあると思います。それほどまでにバランスは良いです。

そして、サブ機に付ける頃の良いレンズを探している方には、正直言ってそれほどお勧めしません。というのも、この場合は明確な撮影対象を持ってしてパーティを組んでいると想定します。メイン機の死角を埋めるように運用するのであればやはり、最高速度よりも加速度の方で割りを食うと感じています。先も申したように、決して速いレンズではありません。一定以上は飛ばせません。そして最高速度に達してもそこまでに時間を要します。ですのでこの期待とのラグはストレスになると思います。ですので、もう少し上のレンズを選択していくのが最適と思います。さらにf値の若さなど、アドバンテージを持っていかねばならない場もあるでしょうし、このレンズには重石と感じます。

何度も書きますが、このレンズはキットレンズです。一番の仕事は撮影機会の増幅で、一番の魅力はバランスの良さです。あくまでこの立ち位置のこの規格だから評価されているわけで、これがことプロ向けの標準ズームとなれば、当然ながらまた評価は変わってくると思います。そこだけは忘れてはならない部分です。だからと言って描写が悪いだの、動作が遅いだのと下げたいわけではありません。あくまで総合的に、俯瞰的に見ているに過ぎません。若干の偏りがあるかもしれませんが、レビューで気をつけていることはここです。

これらを踏まえた上でぜひ選定して頂きたいと思います。(激長)


駄文を書き連ねましたね。お目汚し失礼いたしました。

長くなり過ぎましたので、このくらいで止めておきます。

  • 焦点距離…18~105mm(35mm判換算で27~157.5mm)
  • 手ブレ補正…3.5段
  • 開放f値…f/3.5(18mm側)、f/5.6(105mm側)
  • 最小f値…f/22(18mm側)、f/38(105mm側)
  • 絞り羽根…7枚(円形絞り)
  • 最短撮影距離…0.45m(全域)
  • レンズ構成…11群15枚(非球面レンズ1枚、EDレンズ1枚)
  • フィルター径…67mm
  • レンズフード…HB-32

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