レンズの社説 16本目

今回からコーナー名を変更しました…

今後ともよろしくお願いいたします。


8月が終わろうとしています。

なんだかんだ文章化に時間がかかりました。

 

ご紹介するのは…

AF-S NIKKOR 70-200mm f/4G ED VRです。

2023年の11月に投入。それ以降メインとしてずっと使ってきました。重い腰を上げてレビューしたいと思います。

おもにD600、D750、D500の三機で見ていきたいと思います。どの機体を使用したかを都度記します。

D600
1/500sec f/4 ISO400 (200mm)
SD 5000K

テレ側からです。ひとまず70-200mmですので、この辺りはさすがと思います。無難です。

D600
1/500sec f/4 ISO250 (80mm)
SD 5000K

開放で太陽をギリギリ入れた場面。嫌にならない程度に補正してくれます。

D600
1/4000sec f/4 ISO400 (200mm)
SD 5000K

テレ側開放です。並のレンズならフリンジが発生するようなシチュエーションですが、ここは実力を感じます。もうそんな心配はいらないと思えます。良い意味でも開放f/4の実力はここです。

D600
1.6sec f/5 ISO400 (180mm)
SD 4000K +マゼンタ10

一段も絞らずに遠景ですが、ここもポテンシャルをひしひしと感じます。線が出ることよりは、光源一つ一つに注目してしまいます。

解像力も味方にすれば、手持ちでの活動範囲が広がります。それだけ撮影機会の増幅にも繋がります。コストをかける理由が見えるわけです。

D600
1/320sec f/11 ISO100 (200mm)
SD 5000K

絞り込んでも線はさほど変わりません。若干霞んでいるのは天気のせいで、コントラストも良好です。

D750
1/4000sec f/5.6 ISO500 (185mm)
SD 5600K

細かい色再現まで文句ありません。デジタル設計の利点に当たるような場面で、人によってはこのガンガン使える強みだけでコストがペイできます。

D750
1/500sec f/4 ISO250 (85mm)
SD 5300K +マゼンタ10

1番使いそうなレンジでの開放です。余計なことを気にすることなく開放から使っていけるので、仕事は軟化します。

D500
1/1500sec f/4 ISO320 (200mm)
SD 4400K +マゼンタ10
D500
1/750sec f/4 ISO400 (200mm)
SD 4200K マゼンタ+20

2枚続けてAPS-CのD500です。よって換算して300mmの画面になります。もう頭を使わずに絞り開放を選択しています。本機のAFモジュールとの組み合わせではピントワークに苦労しません。

いろいろ喋りやす。

1.投入経緯

まず書いているのは2025年の8月です。当時を懐かしみながら、また当時のメモなどから拾っていきます。

まずは投入経緯からです。思い立ったのは2023年6月ごろです。

これからのレンズパーティをどう展開していくかが問題でした。

明るいf値を求めていけば、AF105/2.8DとQ-Auto135/2.8を使い分けてこなしていましたが、やはり限界がありました。各ズームに加えてこれらを携帯しなければなりません。

又、これらは将来性が見込めません。ボディ内モータのないニコンZマウントでの使用は少々不便であることから、最低でもAF-SのDタイプ以上である必要も考慮しました。

そこで自ずと候補に上がってくるのは70-200mmクラスのレンズとなる訳です。

AF80-200/2.8D NewやAF-S 80-200/2.8Dが対抗馬になり、それほど悩まずに最終的には個体の巡り合わせでこのレンズとしました。といいながら、求めていたものはこのレンズが持ち合わせていましたので、ほとんど必然的に決まりました。

対抗馬の落選の理由は、とにかくコストに見合った分の魅力が見出せなかったからです。今更古いものに行くのか?というのが当時から若干感じておりましたし、対抗馬になったのもコストパフォーマンスの点からでしかありませんでした。安かろう悪かろうとは言いませんが、うちでこれからずっと振り回すことが決まっているのに、型落ちに資金を回しては元も子もありません。

とにかく永続性です。言うなれば長い間を添い遂げるパートナーのような物ですからもちろん慎重になります。筆者は常日頃1番使用するレンズがこのポジションのため、答えはわかっているが少しだけ悩んでいる状況が続いていました。

最終的には個体の巡り合わせと、資金の目処もあって晴れて11月にお迎えしました。

2.使用感等小話など…

描写に限った話をすれば使っていての不満を見つけることの方が難しいです。ひとまず開放からの線は絞っても大きく変化しません。あとは光源に相対する場面でどこまで絞り込む露出の余裕があるのかを考えていくのみです。ナノクリスタルコートのおかげで簡単に撮影を済ませることができます。

サイズも小さいです。三脚座は取り外し可能(というかそもそも付属品では無い)ですので、さしずめ適当なキットレンズの延長上か、70-300mmクラスの望遠レンズと変わらぬ使い方ができます。マウント部からレンズの先端まで太さが変わらず、これも操作性に寄与しているものと思います。したがって荷物を減らしながら望遠域はだいたい一本で任せられるので非常に撮影仕事、特に取材周りが簡単になります。APS-C機とのタッグでは300mm f4となりますので、より使い道が増します。

スイッチ周りです。難しいことはありません。

フォーカスリミッターが便利です。~6mで制限できます。またこれをFullにすると、ズーム全域で1mまで寄ることができます。これが案外と助かる時があります。

3.あくまでも。

あくまでも小三元、腐っても小三元ですから、ご購入の際はf/4開放というところを聢とご理解頂きたいと思います。これのために撮影結果に妥協するようなことがあっては、貴殿の撮影環境では不向きということになってしまいます。f/2.8のモデルが存在し、その下位互換であることはご承知いただきたいのです。露出一段に泣かされる撮影をしているような方にはf/2.8のモデルを強くお勧めします。ここもコストのかけようで、購入の段階から露出一段分をドブに捨てることになります。すなわちこれから先このレンズで撮影した結果にはすべて責任がつきまといます。ここだけはどうかご理解頂きたいのです。価格や重量、携行性で推し量れない、あくまでも使用者に寄り添ったレンズ選びの範疇となります。どうか快適に、少しでも軽易に撮影をするために、このコストは飲んでいただきたいと思っています。レンズが使用者の仕事の邪魔をするようなことがあってはいけないのです。その原因は選択した本人に回帰します。

ここを抜きにすると非常に便利の良いレンズです。大きく外すこともないので、とりあえず任せておけばよい安心感があります。仕事が簡単になります。コストをかけたいと思えます。

4.修理した。(2024年6月)

発端は2024年2月、うちで所有している当レンズを運用中、突然手ぶれ補正動作による異音を確認。どこかへぶつけたわけでも水にさらしたわけでもなく、本体への着脱を行うと正常動作が見られたためその日はそのまま運用を継続、その翌日に点検を行い、“VRが動作しようとすると異音が発生して以後ボディから着脱せねばVRが動作しなくなる”と結論づけました。これにより即日戦線離脱。VRがない分には対して困りませんが、AFを駆動して撮影待機に入るたびに異音が聞こえるなど、気が散るというレベルではありません。またうちではそのような故障した個体をいつまでも運用しているほど適当な現場ではありませんから、当然の処置です。

いつものピックアップサービスでニコンに投げ、見積もりが来たのでそのまま続行、全て終わって受付から2週間程度で帰ってきました。VR異常を認めて組部の交換と、摩耗していたマウント部、保護環、接点類の交換を含めて請求書には32,659円との記載でした。正直この程度でへたるのも非常に理解し難いですが、中古での購入の折、納得の上修理出来るだけありがたいと思えと結論付けてお支払いしました。

5.フードは脆い。

修理を明けて復帰してすぐのころ(2024年7月)、30cmほどの高さから寝転ぶと若干硬い程度のカーペットにフードからぶつけたことがあったのですが、それでレンズ本体と接続する溝部分から割れてしまい、即日新品を注文しました。対して勢いもつけていないので驚きましたが、納得させてその時は終幕。

そして時は流れて2025年の2月、今度は少し横から力がかかっただけで嫌な音がして、確認するとヒビが入っておりました。着脱に影響はないため一時は簡易の補修だけ施して運用をしておりましたが、これで頭に来ました。乱暴に扱っているわけでもないのにここまで脆いかと。この程度で使えなくなるフードなのかというのが正直な感想で、二代目に関しては新品で購入して一年使っていませんから、はっきり申し上げてこのラインのレンズの付属品としては到底納得し難い出来です。ただでさえ着脱の突起が緩くなって気を遣っているというのに、そのようなことでヒビが入るような脆さであれば、撮影など二の次となります。筆者の使用状況としてまず安全確保が最重要であることから、これは到底見過ごせる状況ではありません。これを経験してからこのレンズを手放しで他人におすすめ出来なくなりました。もう一度申し上げますが、わざわざ新品で購入してこれですのでここはどうか非常に丁寧に扱って下さい。自身を含めた周囲の安全を確保するために気を遣って繊細に運用していただきたく思います。

追記:2025年8月

またヒビが入りました。もう呆れています。黙って新品を注文しました。

ダラダラと文句を垂れましたが、これ以外には本当に対して不満がありません。レンズとしては本当に良いものです。そろそろ乗り換えも検討していますが、なんだかんだ大きさと性能のトレードオフが上手く取れているせいでどうも嫌いになれません。これでいい、いやむしろこれがいいになっています。

言うなれば富士急行やら八高線やらあっちの方に乗り入れていくE233系の4両のような感じです。ちゃんとボタンでドア開閉ができます。

メーカーページ

  • 焦点距離…70-200mm
  • 開放f値…f/4
  • 最小f値…f/32
  • 手ぶれ補正…4段
  • 絞り羽根…9枚(円形絞り)
  • 最短撮影距離…1m(全域)
  • レンズ構成…14群20枚(EDレンズ3枚、ナノクリスタルコートあり)
  • フィルター径…67mm
  • レンズフード…HB-60

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